私は中型トラックに乗って、九州・中国地方にある中古車販売店やオークション会場、整備工場などへ車を運んでいます。中型トラックに積載する車両は1台。配送先ごとに積み降ろしをしながら次の場所へ向かうため、毎日さまざまな場所に移動しています。道も土地も知らない状態からスタートしたので、大型免許を持っていればすぐに活躍できるわけではない仕事なのだと入社後に痛感しました。また、当時は同業でドライバーに従事する女性は九州全体で5名しかいないほど珍しい存在でもありました。それでも続けてこられたのは、周りの先輩のおかげです。おどろくほどやさしい人が多く、困っていれば誰かが駆け寄って助けてくれます。みなさんが親身になってサポートしてくれたことで、成長していけました。

現在の仕事に携わってから、本当に多くの種類の乗用車のハンドルを握りました。もともと車好きだったこともあって、気になっていた車種に乗れたときはうれしいですし、手が届くこともないと思っていた高級外車の運転席に座れたときの感動はこの仕事の醍醐味です。とはいえ、高額の商品を扱うため、心が浮足立ってばかりはいられません。運転する前に値段を聞きたくなかったと思うほど高額の車も扱うので、何年経っても常に緊張感を持って業務に取り組んでいます。特に大型の車をトラックに積み込む際は難易度が上がり、より慎重になるため精神的にも疲れるのですが、積み終わったあとのトラックの姿はかっこよく達成感も大きいです。シビアな一面がありながらも、喜びも多い仕事だと思います。

昔、先輩がトラックに積み込んでいた知らないメーカーの高級車が自分好みで、いつか同じ車を任せてもらえるようなドライバーになりたいと強く思ったことを覚えています。その願いを実現できるように、商品の扱いにますます気を遣うようになりました。以前は時間通りに運ぶことに気を取られがちだった積み込み作業も、現在ではきっちりと真ん中に車を置くように心がけています。直接的に輸送の品質に関わる部分ではないですが、そういう細かい部分まで配慮できるドライバーでありたいです。また、これまで多くの方に支えてもらってきた中で、先輩に「どうしてこんなに親切にしてくれるのか」と尋ねたことがあります。そのときに、「自分も先輩に助けられてきたから」と答えてくれたのが印象的でした。私も当社の素晴らしい伝統を引き継いで未経験からスタートした新入社員を手厚くフォローしながら、上からも下からも信頼されるドライバーを目指します。